想像力を働かせる
ハイチで大きな地震が起こった。被害状況が明らかになるにつれ、地球の裏側で起こって出来事とは思えない悲しみとやりきれない感情に襲われる。人間の無力さと儚さ弱さを実感する。そして己の利益のみを貪り続けている人間に対する自然からの警告のように思えてくる。
生徒たちにとって世界で起こっている出来事はどのように映っているのだろう。自分の生活とは無関係の出来事と感じるか、自分と関わりのある事件として感情が動かされる事なのだろうか。今回の地震に対して、中高の生徒会の共同の呼びかけで、募金活動が行なわれた。数日で30万円近い募金が集まった。関心の高さを感じる。世界の人々の痛みや悲しみに想像力を働かせることができるのは、幸いなことだと思う。
「想像力」は人間に与えられた固有の特性だ。無限に広がるイメージの世界は、人間の豊かさの象徴だ。その想像力を伝えようとするとき、そこに芸術が作り出される。文化が生まれる。先日行なわれた高1のダンス発表会は、そのことを強く意識させてくれた。生徒たちは、全身を用いてグループごとにイメージした心象風景や固有の物語を自分たちのやり方で表現しようとしていた。その思いが伝わってきたことが嬉しかった。
私は講評を依頼されてステージにあがったが、高1の生徒たちの独創的で劇的な発表を評価することばを失っていた。実に協力的で優しい学年集団であることに感動していたからだ。色々な背景を持った生徒たちが、皆舞台の上にいた。衣装や証明、音楽や構成力も優れていた。何よりも発表することに誇りを持った生徒たちの体全体から発している表現力の豊かさをうまく言葉にして褒められなかったが、「想像力を働かせること」の豊かさを改めて知らされた発表会だった。いい高校生活をしていることが嬉しかった。
私たちの時代を覆う思想はニヒリズムだと言われている。他者との関係性を断絶し孤立して生きていくことが時代の空気となっている。関係性の断絶は悲しいことに想像力を枯渇させている。人は人と出会うことで人間になっていくと信じたい。人との関わりの中で生まれてくるもの、想像力を働かせることで見えてくるものを大事にしたい。今回のダンス発表会は心地良い時間であった。まっすぐに演技している生徒たちの表情の中に、教育の可能性を見出すことの出来たのだから。


























